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Channel: 絵画指導 菅野公夫のブログ
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絵と感動について 3

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絵は感動から始まる。感動にもレベルがあるというお話をしてきました。

ただ、考えてみると、絵は感動したものをそっくり写すことか?という問いをしてみたくなります。

感動があり、作品つくりをする。そうすると、感動イコール絵(完成)となるわけです。

でもそうだろうかと思います。


写真なら、その通りですが、絵は描くという作業があります。時間がかかります。
部分的に進んだり手着けずだったりします。


私などは、描いているうちにどんどん変化していきます。

描いている間に、新たな感動が生まれます。それは、絵そのものの中にあります。
絵具の付き具合であったり、潤いであったり、タッチの味であったり、描かれた部分と描いてない部分が見せてくれる
途中経過、そこに初めのテーマとは違う感動があるのです。
そして、絵が変わっていきます。

出発点における感動は、作品つくりのきっかけに過ぎず、大きな組み立てはその感動ではありますが、
途中絵画制作をしている段階で、新たな感動が加わって、作品が変わっていくのです。

同じところを描いても、写真のように描いていくと、誰もが同じ絵になりますね。
しかし、現実は描く人によって同じ風景でもかなり違ってくる。
それは、この絵画制作の途中で感じる何かが、決めるのではないかと思います。

私は、この途中経過での感動を、絵と会話すると言っています。

絵が見せてくれる途中経過によって、絵が変わって行く。

ーーーー

私が描いた雪景色も、実際の風景とはかなりかけ離れた絵になっています。
現場に行くと、「えっ、ここ?」と言われます。
そのくらい現実とは違っています。

理想を求めて、取捨選択をしているからですが、写真に写っているものを全て写す訳にもいかず、
むしろ全て写さない方が、絵として良いと思えるのです。

最初の感動がきっかけで始まってはいますが、絵にするということからすると、途中での絵との会話から
必要ないものを省くということは必ずやっています。



ここで言いたいことは、

絵画制作における感動は、出発点における感動と、制作途中における感動の二種類あるということです。

だから、最初の感動が、100パーセント絵の完成になるわけではないように思います。

絵画制作は、絵と会話しながら進んでいくということです。








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